こんにちは、jazz335です。
20代の頃、ロックばかり聴いていた僕は「ジャズは敷居が高い」というイメージがありました。
そんな中、会社の後輩にすすめられたアルバム「クール・ストラッティン」をきっかけにだんだんとはまっていくようになります。
ジャズ初心者は何から聴いていいかわからない・・・
僕が最初にジャズに興味を持ったのは20代の後半です。
けれど「何から聴いていいかわからない」というもどかしさが常にありました。
きっかけは人それぞれだとは思いますが、たいていは映画やお店のBGMでかかっていた曲を聴いて「あーかっこいいなぁ」というような感想をもつ事ではないでしょうか。
じゃぁ「どこどこのバーで酒を飲んでいたらかかっていた女性ボーカルの曲わかる?」と聴いても、まわりにわかるひとがいません。
ロックやポップスだと、サビのメロディーや歌詞を記憶しておけばチャンスがあるんですけど、ジャズの場合「自分の聴いた曲を人に伝える」というのが難しいんですよね。
僕の場合、もちろん映画やバーのBGMもきっかけのひとつだったかも知れませんが、もっとさかのぼると学生の頃に聴いていたロックアルバムだったのではないか、と思うんです。
例えばクイーンの「ドリーマーズ・ボール」やヴァン・ヘイレンの「ビッグ・バッド・ビル」なんかを聴いて、「うわぁ、かっこいいなぁ」と思うわけです。
それまでギターがガンガン鳴ってる曲を聴かせといて、ふっとジャジィな曲に移る。
ロックとはまた違ったフィーリングに「カッコイイ!」と単純に感動していました。
そこで素朴な疑問を抱きます。
当時の仲間うちでそういうの聴いてる友達はいないし、親に聞いても「ベニー・グッドマンだな」という返事だし。(僕が聴きたかったのはスイング・ジャズではなかったんですよね)
グーグルに「ジャズ 初心者」と入力すればおすすめのアルバムを教えてくれるのは、まだまだ先の時代です。
最初の1枚はソニー・クラークのクール・ストラッティン
ソニー・クラーク(p)『Cool Struttin’』1958年
【パーソネル】アート・ファーマー(tp)/ジャッキー・マクリーン(as)/ソニー・クラーク(p)/ポール・チェンバース(b)/フィリー・ジョー・ジョーンズ(ds)
僕がジャズへの最初のアプローチを試みたのが20代後半の頃でした。
当時、会社の寮で一緒だった後輩と音楽の話になり、「ジャズもちょこっと聴きますよ」とのこと。
「え!そしたらなにかCD貸して」ということで貸してくれたのが、ソニー・クラークのクール・ストラッティンです。
トランペットとサックスのクールで都会的なフレーズ、そして小気味よいピアノ。
ジャケットのイメージ通り「ニューヨークの街並みをさっそうと駆け抜ける」ようなサウンドが溢れてきます。
「そうそう、これこれ」と、後輩に気に入ったことを伝えると、「じゃぁ、次はキャノンボール・アダレイですね」。
ということで2枚目は「サムシン・エルス」を聴かせてくれました。
感想は「なんか暗いなぁ、でもってよくわからん」というものでした。
他に貸してくれたキャノンボールのCD(タイトルは覚えてませんが)にもどうもなじめず「やっぱり難しいんだな・・・」ということで早々に撤退。
なんでもそうなんですが、よっぽど自分の感性に自信がある人でないかぎり「人からすすめられたもの」に頼ってしまう事が多いんではないかな、と思うんです。
自分に合ったものをすすめてくれる人がいれば、これは願ったりかなったりです。
けれど、そういう人はなかなかいません・・・
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音楽を聴かせるプロからすすめられた5枚のアルバム
僕が30代になる手前の頃、ソウル系のカバー曲を演奏するバンドにギターで参加させてもらった時期がありました。
そこのギタリストの先輩は、イベント等で流す曲を選曲する音楽関係の仕事をしています。
ですからギターの腕もさることながら、色々なジャンルのアーティストや曲の知識がハンバないです。
いわば、相手の好みやシーンに合った音楽を聴かせるプロなわけです。
バンド練習が終わってから先輩を送る車の中で、レッドツェッペリン、ローリングストーンズをBGMにロックの話題で盛り上がります。
そこで「実は、クール・ストラッティンを聴いてはまりかけたけど、サムシン・エルスで挫折しました・・・」と相談してみました。
先輩はそんな初心者のボクに、ロックファンにオススメの5枚のアルバムを紹介してくれました。
そしてこの5枚が、ボクにジャズの扉を開けてくれました。
ブルース・フィーリングあふれるギター ウェス・モンゴメリー
ウェス・モンゴメリー(g)『Full House』1962年
僕は長いことロックばかり聴いていたので、ギターという楽器にはとても愛着があります。
このアルバムでウェス・モンゴメリーが聴かせるギターは、メロディラインがシンプルで熱いグルーヴ感。
[1]「フルハウス」のサックスと一緒に強烈にスイングするテーマが流れると「そうそう、これこれ!」みたいに素直に反応してしまいます。スリリングでスピード感のあるブルースから、ちょっぴりせつないバラードまで、ライヴハウスでの観客の盛り上がりを一緒になって体感できます。
【パーソネル】ウエス・モンゴメリー(g) / ジョニー・グリフィン(ts) / ウィントン・ケリー(p) / ポール・チェンバース(b) / ジミー・コブ(ds)
軽快に跳ねるピアノ ウィントン・ケリー
ウィントン・ケリー(p)『Wynton Kelly !(枯葉)』1961年
「オータムン・リーヴス(枯葉)」「風とともに去りぬ」といったスタンダードが収められています。
ウィントン・ケリーのアルバムで最初の1枚は?と聴かれたらこのアルバムをおすすめします。
明るく軽快にスイングするリズム、しっとりと美しくゆれるメロディー、ピアノ・トリオならではの多彩な表情をみせてくれます。
【パーソネル】ウィントン・ケリー(p) / ポール・チェンバース(b) / サム・ジョーンズ (b) / ジミー・コブ(ds)
さわやかなトランペット ブルー・ミッチェル
ブルー・ミッチェル(tp)『Blue’s Moods』1960年
さわやかなトランペットのフレーズが心地よい [1]「アイル・クローズ・マイ・アイズ」。
軽やかにリズムをきざむピアノにタイトなベース。
よく晴れた日に郊外をドライヴしながら聴きたい曲。
そして、夕暮れが近づいた頃に[6]「ホエン・アイ・フォール・イン・ラヴ」。
夕焼けのひろがる中、暖かみに包まれながら・・・
【パーソネル】ブルー・ミッチェル(tp)/ウイントン・ケリー(p)/サム・ジョーンズ(b)/ロイ・ブルックス(ds)
ゆったりと甘くゆれるサックスの音色 ジョン・コルトレーン
ジョン・コルトレーン(ts)『Ballads』1962年
多くのジャズファンが絶賛するコルトレーンのバラード集。
[1]「セイ・イット(オーヴァー・アンド・オーヴァー・アゲイン)」がかかると、ゆったりと甘くゆれるサックスの音色が心地よく響きます。今日は会社に行くの辛いなぁ・・・という朝にはこれを聴きながら通勤電車に乗り込みます。
仕事や人間関係で疲れて、もつれてしまった心をゆっくりとほぐしてくれるんですよね。
【パーソネル】ジョン・コルトレーン(ts)/マッコイ・タイナー(p)/ ジミー・ギャリソン、レジー・ワークマン(b)/ エルヴィン・ジョーンズ(ds)
都会的でクールなトランペット マイルス・デイビス
マイルス・デイビス(tp)『Kind Of Blue』1959年
マイルスはあくまでもクール。
モノクロの背景にウィントン・ケリーのピアノは跳ね、コルトレーンは駆け巡るようにテナーを吹き、キャノンボールのアルトは饒舌に歌います。
面白いのは2人のピアニストを場面に応じて出演させるあたり。
僕が好きなのはケリーの弾く[2]「フレディ・フリーローダー」。
都会的なブルースで、リズムに合わせて指を鳴らしたくなります。
そして[3]「ブルー・イン・グリーン」がはじまるやいなや、ビル・エヴァンスの繊細で美しい世界が広がっていきます。
マイルスは派手なプレイで目立つのではなく、あくまでも共演者の個性を静観しながら、自分のイメージやスタイルを緻密に演出しているように思います。
【パーソネル】マイルス・デイビス(tp) / ジョン・コルトレーン(ts) / キャノンボール・アダレイ(as) / ビル・エヴァンス(p) / ウィントン・ケリー(p) / ポール・チェンバース(b) / ジミー・コブ(ds)
初心者にすすめるアルバムは最初の数秒が肝心
先輩にすすめられたアルバムは、どれも1曲目のイントロの数秒でぐっと引き付けるものばかりです。
ロックファンのボクが、イントロのギターリフで曲の好みを語るところに着目して選んでくれたのかもしれません。
そして時代は1960年前半のものばかり。
ジャズ・ジャイアントと呼ばれた名プレイヤー達が、モダンジャズを開花させた「黄金時代」です。